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【MBA書籍まとめ】経営戦略 第2章 自社の強みの構築と活用

書籍「グロービス MBA経営戦略」の「第2章 自社の強みの構築と活用」についてのまとめ記事です。

  

こちらの書籍のまとめです。

 

理論的なことはより理解しやすい表現に書き換え、文章量も最低限に留めました。

 

こちらの記事をお読みいただいて 本の内容を理解いただくもよし。

事例を含むより詳しい内容を知りたい方は購入して勉強いただくもよし。

 

便利に使ってやってください!

 

ではでは、以降がまとめ記事になります。

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マイケル・ポーターの提唱したフレームワークは、基本的に業界分析を適切に行い、そこで優位なポジションを取ることができれば(さらには、効果的なバリューチェーンを構築することができれば)企業間競争に勝てる、ということを前提としている。

 

しかし、どれだけ分析を行っても、自社に強みとなる経営資源がなければ戦えない。

また、多角化などを考える際には、自社の強みをベースとしたうえで市場に目を向けるケースが実務的にも多い。

 

そこで、ポーターが主導するポジショニング論とは逆のアプローチが、リソース・ベースト・ビュー(RBV)である。

 

これは、単純に言えば、「良いリソース(経営資源)を持っているほうが結局は勝つ」という考えである。

 

グーグルやアマゾンといったIT業界の巨人が、自社の経営資源にあくなき投資をし、大きな企業価値を実現しているのが好例である。

 

 

 

1.事業ドメイン

事業ドメインとは、その企業が事業を展開する領域であり、全社戦略の前提ともなる。

 

事業ドメインは、自社の強みが適用できる(あるいは将来的にそこで強みを構築し、他の事業に横展開できる)ことを前提として設定される「戦いの場」である。

 

経営者の意図に基づいて演繹的に行われることが多い。

 

 (1)事業ドメイン設定の重要性

事業ドメインをどのように設定するかは、時として企業の成長を大きく左右する。

 

たとえば、かつてアメリカの鉄道会社の多くは、自らの事業ドメインを「鉄道事業」と定義し、従業員もその範囲で事業を営むことを当然のことと見なしていた。

 

しかし、このドメイン設定が裏目に出た。

モータリゼーションが普及し、自動車と飛行機による移動が急速に一般化していくなかで、多くの鉄道会社は対抗策を打ち出せず、衰退の道をたどることになった。

 

日本の私鉄の多くは、多角化の先鞭を切った阪急電鉄にならい、自分たちを単なる「鉄道屋」とは見なさず、沿線エリア住民に対するサービスを拡充させていった。

 

現在、日本の多くの私鉄会社は鉄道事業のみを営むのではなく、鉄道沿線のエリアをベースに、百貨店やショッピングセンター、ホテル、不動産業、スポーツ施設、エンターテインメント施設などを営んでいる。

 

私鉄の事業ドメインは、「特定エリアをベースに、鉄道を軸としながら、人々に豊かなライフスタイルを提案し、沿線地域のまちづくりに貢献する」等で定義できる。

 

 

(2)小さすぎず、大きすぎないドメイン設定

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事業ドメインが小さすぎると、下記2点のデメリットもある。

 

① 成長の限界がすぐに来てしまうという点

 

②優秀な人材を引き付ける力がないという点

グーグルは、「グーグルの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです」とのミッションを掲げ、これがほぼそのまま事業ドメインを規定している 

 

一般的には、企業の成長に合わせてドメインを拡大していくことが多い。

自社の強みとリソース、事業経済性、市場成長性などを複合的に考えたうえで決めていく。

 

しかし、事業ドメインが大きすぎても、下記3点のデメリットがある。

 

①自社の強みが通用しにくくなる点

 

②グループのマネジメントが難しくなる点

事業特性もKSF(成功のカギ)も、求められる人材も組織文化も異なる事業を、グループ全体として的確にマネージし、それぞれの事業で競争優位を築くのが容易ではない。

 

③組織としての求心力が失われる点

事業部間や従業員間の相互のコミュニケーションを阻害し、シナジーの効きを悪くする原因となる。

 

企業には本来、芯となる企業理念やミッションがあり、それが複数の事業にまたがる従業員を結び付ける接着剤ともなる。

 

しかし、ドメインが拡散しすぎると、ドメインごとに異なる文化が生まれ、それが従業員のマインドにも波及して会社としての一体感が薄れてしまう。

 

 

 

2.コアコンピタンスとケイパビリティ

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(1)コアコンピタンス

コア・コンピタンスは、文字どおり企業の中核となる強みである。

「顧客に対して、他社にはまねのできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力」と定義される。

 

競争相手との絶対的な位置関係や差異が重要な意味を持つ。

単に「自社が得意だ」「自社にとって大事だ」と言うだけではなく、「どのくらいライバルに対して強いか」が重要である。

ホンダのエンジン技術

news.livedoor.com

 

ソニーの小型化技術

シャープの液晶技術

www.news-postseven.com

 

コア・コンピタンスの評価にあたっては、

 

・模倣可能性(Imitability)

・移転可能性(Trans-ferability)

・代替可能性(Substitutability)

・希少性(Scarcity)

・耐久性(Durability)

 

の5点について考える必要がある。

 

模倣可能性、移転可能性、代替可能性については、それが小さいほど強いコア・コンピタンスとなりうる可能性が高い。

希少性と耐久性は高いほど競合に対する優位性が高まる。

 

ただし、構築したコア・コンピタンスも、市場環境の変化とともに陳腐化するおそれはある。

破壊的イノベーションによる代替可能性の圧力が常についてまわる。

 

企業としては、時代の変化に合わせて新たなコア・コンピタンスを獲得・構築するために、継続的な投資を行うことが必要。

圧倒的なバイイングパワーとアクセスの良さ、店舗運営ノウハウなどをコア・コンピタンスとしてきたアメリカの大手DVDレンタルのブロックバスターは、ネットでストリーミング配信などを行うNetFlixなどの台頭によってコア・コンピタンスが一気に無力化・無価値化し、業績が急激に悪化して連邦破産法11条の適用を申請せざるをえなくなった。

thestartup.jp

 

 

 

(2)ケイパビリティ

コア・コンピタンスがバリューチェーン上における特定の技術力や製造能力を指すのに対し、ケイパビリティはバリューチェーン全体に及ぶ組織能力である。

ホンダは、優れたディーラー管理、具体的にはマーチャンダイジング、営業、店舗レイアウト、サービス管理などに関する手順や方針の伝授から、研修への参加促進、ITを活用した管理などを行うことで、競合他社に圧倒的な差をつけた。

ポイントは、特定の技術ではなくビジネスプロセスにフォーカスしていた点である。

 

コア・コンピタンスと同様に、ケイパビリティも、その構築が難しいほど強みとしての価値が上がる。

ウォルマートは「Every Day, Low Price」といった規模の効果を武器にした安売りが注目されがちである。

しかし、その真の強みはロジスティクスという目につきにくい場所に多大な金銭的・人的な投資をし、それを軸にビジネスコンセプトやビジネスプロセスを構築した点にある。

これこそが同社のケイパビリティである。

 

ケイパビリティとコアコンピタンスは、お互いに相互補完的であるという見方も成り立つ。

ケイパビリティがあるからこそ、市場で勝てるコア・コンピタンスが発揮できると言える。

 

また、コア・コンピタンスがあるからこそ、企業はそれを軸にバリューチェーン全体にわたるケイパビリティ開発に投資できるとも言える。

 

 

(3) その他の強み

その他の強みとして、カリスマ的なリーダー、立地、歴史的資産等が挙げられる。

 

①カリスマ的なリーダー

リーダー個人のネットワークや知名度、発信力などを戦略に活用している企業は多い。

 

ライフネット生命保険は日本におけるネット生保の草分けともいえる存在であるが、その社名の普及度等については、創業者CEOの出口治明と、同じく創業者COOの岩瀬大輔の2氏に負うところが大きい。

出口CEOは書籍の著者などで有名であるし、岩瀬COOはブログやTwitterでの情報発信を盛んに行っ

出口治明 - Wikipedia

blog.livedoor.jp

 

②立地(土地)

歴史的な経緯で好立地を手に入れることができたというケースも多い。

 

サッポロビールは、東京都の恵比寿における不動産事業が収益の大きな部分を占めるが、恵比寿は若者に人気の街で、渋谷の隣駅でもある。

高級住宅街の広尾や中目黒などにも近い。そのような好イメージの恵比寿に広大な土地を持つことができたのは、偶然によるところが大きい。

ヱビスビール記念館 | 工場見学とミュージアム | サッポロビール

 

③歴史的資産

歴史的経緯から手にできた資産が強みとなることがある。

 

かんぽ生命は、郵便局時代に集めた莫大な保険料収入を競争上の強みとしている。

www.jp-life.japanpost.jp

 JTが持つタバコ農家とのネットワークもそうした資産の1つである。

 

もともと国営だった企業はこうした強みを持ちやすい。

たばこ作農家への影響は甚大 | JTウェブサイト

 

 

3.リソース・ペースト・ビュー

 RBVとは、競争優位の源泉を企業の内部資源や内部の強みに求める戦略理論のこと。

良い経営資源を保有することが企業を成功に導くポイントとなる。

企業のコントロール下にあり、活用できるもの(ヒト・モノ・カネ等)は、基本的にすべて経営資源である。

 

エディス・ベンローズ、企業の資源に着目し、それを最大限に活用することこそがマネジャーの仕事であると説いた。

 

(1)ポジショニング論との関係

ポジショニング論だけでも、RBVだけでも企業の成功や失敗は説明できない。

両方を相補的に用いることが適切とされている。

 

良いリソースを開発・保有し、そのうえで適切な業界分析を行い、独自のポジションを取ることができれば、高い収益性を期待できる。

 

特にRBVが力を発揮するのは、多角化や、事業ドメインの変更を検討する際である。

企業は自社の強みを活かし、シナジーを効かせながら事業拡大を図るのが一般的であるからだ。

セブン&アイ・グループは、購買量に裏付けられたバイイングパワー、POSなどを活用した顧客ニーズへの対応力、充実した店舗網などを強みとして持つ。

また、組織全体を通じて、優れた仮説検証力を保有している。

これらを活かして成功した新事業が、ケースで見たセブン銀行である。

セブン銀行の成功要因は、顧客ニーズを踏まえた上で、グループの店舗網を徹底的に活かし、ATMからの手数料収入に集中したビジネスモデルである。

globis.jp

 

製造業においても、日本電産は、ブラシレスDCモーター技術と、日本電産流マネジメントを武器にM&Aを行い、業容を拡大している。

diamond.jp

 

 

RBVの提唱者であるバーニーは、ポーターの提唱したバリューチェーンに関して、企業の強み(弱み)を特定するフレームワークとして非常に有効であるとしている。

 

バリューチェーンは内部分析の重要ツールであるが、ポジショニング論に沿った分析にも有効であるし、RBVに沿った分析にも有効である。

 

 

 

4.VRIO

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VRIOとは、企業のリソースがどのくらい強みになるのか、言い換えれば、組織が持つリソースの有効活用可能性をチェックするフレームワークである。

 

以下の4つの問いでリソースを評価できるとされる。

 

・経済価値(Value)に関する問い

・希少性(Rarity)に関する問い

・模倣困難性(Imitability)に関する問い

・組織(Organization)に関する問


誰にでもすぐにまねできるようなリソースは強みとなりにくいが、容易にまねできない。

つまり、模倣がそもそも不可能であるか、模倣しようとすると莫大な投資・コストが必要になるようなリソースは、経済価値や希少性が担保されていれば非常に大きな強みになるという意味合いである。

 

短期には模倣されにくいリソースの条件として、

①独自の歴史的条件、②因果関係の不明性、③社会的複雑

の3点が考えられる。

 

①独自の歴史的条件

歴史的な偶然や出来事、蓄積によってもたらされたリソースの優位性。

 

NTT各社やJR各社、日本郵政の店舗網や技術はかつての国策によるところが大きく、競合がこれを模倣することは極めて難しい。

こうした強みはトップの大きな意思決定もさることながら、ボトムからの小さな意思決定の集積による部分が大きい。

 

②因果関係の不明性

「これをすればこのリソースが手に入る」という因果関係が明確であれば、優れたリソースも要素分解して模倣しやすくなる。

 

だが、企業の強みとなる多くのリソースは、そのような単純な因果関係では説明できない。

 

③社会的複雑性

企業内におけるコミュニケーション、組織文化、サプライヤーや顧客とのやりとりなどは社会的に複雑でわかりにくく、競合がそれを模倣するのは容易ではない。

ハードな要素より、こうしたソフトな要素ほどまねしにくいとされる。

 

組織能力の具体的な内容としては、個々人のスキルに加え、指示系統やコントロール・システム、評価報奨体系などが含まれる。

これらも外からの見え方だけではなく、その運用の微妙な呼吸、ニュアンスが重要となるため、競合が容易に模倣するのは困難である。


トヨタ、GE、サムスンなど、国内外で大きな収益を上げている企業は、概ねVRIOの4つ目までの要素を満たすリソースを保有していることが多い。

 

 

(1)RBVに対する批判

 最も典型的な批判は、リソースの強さ、弱さは絶対的に決まるわけではなく、相対的、主観的にしか判断しえないということ。

 

先進国において顧客の支持を得るプレミアム商品を開発できる能力は、明らかにその企業の強みに思える。

しかし、その強みは、新興国向けのリーズナブルな価格の商品開発においても強みになるとは限らない。

 

リソースは、それ単独では強みとはならず、市場や競合との関係性の中で、あるいは企業が抱える戦略的な文脈の中で適切に用いられて初めて意味を持つ。

 

ポジショニング論が規範的な(「あるべき」ことを示す)戦略論であるのに対し、RBVは概ね記述的な(「結果としての状態」を示す)戦略論である。

規範的な戦略論は、ある程度フレームワークや手順を学べば誰でも一定のレベルの「べき論」が言えるのに対して、記述的な戦略論はそれが非常に難しい。

 

 

 

以上が、第1章「事業経済性の活用」のまとめになります。 

 

 

最後に 

この記事でまとめている書籍、「グロービス MBA経営戦略」ですが、非常に各戦略論の内容が関連づけて綺麗にまとまっており、非常に理解しやすいです。

 

事例も豊富で非常に実践的!

 

まずはこの本から経営戦略の土台を学び、より詳細を知りたくなった個別戦略論やフレームワークについては別書籍で続けて学んでいくのが良いかと思います。